6月22日は「夏至(げし)」です。夏至は1年のうち、最も日照時間が長い日というのはみなさんもご存知ですよね。
そもそも夏至とは、二十四節季(にじゅうしせっき)の1つで、6月22日から次の節である7月7日「小暑(しょうしょ)」までの期間のことを言います。夏至の始まりの日が最も日照時間の長い日であるため、この日を広く一般的に夏至と言うようになりました。
実は夏至は、さらに3つに分けることができます。これは七十二候(しちじゅうにこう)という考え方で、二十四節季をそれぞれ初候(しょこう)、次候(じこう)、末候(まっこう)に分けたものです。それぞれ植物に由来した名前がありますので、見ていきましょう。
夏至の初候を「乃東枯(なつかれくさかるる)」と言います。乃東(だいとう)はウツボグサの異名で、夏枯草(かごそう)という生薬としても使われます。花穂がこの時期に茶色く枯れたようになることから、夏枯草という名がついたのでしょう。
次侯は「菖蒲華(あやめはなさく)」です。この時期に咲くのは「花菖蒲(はなしょうぶ)」と言われています(あやめはなさく、と呼ばれる理由は諸説あります)。大変美しい花ではありますが、花菖蒲は生薬として使われることはあまりないようです。
末侯は「半夏生(はんげしょうず)」です。半夏はカラスビシャクのことをいいます。曲がった葉っぱのようなものは仏炎苞(ぶつえんほう)といい、その姿はとても特徴的です。塊茎(かいけい)という部位を生薬として使い、咳を鎮め、痰を取り去る効果があります。実際に六君子湯(りっくんしとう)や半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)といった、数多くの漢方薬に配合されています。
昔の人はこのように植物が枯れたり、また芽生えたりするのを見ることで、季節の変化を感じ取っていました。夏至を超えると熱中症が心配になりますが、こうした季節の移ろいを感じ取る心も大切にしたいですね。
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