【“秋”なのに“春の季語”?意外と身近な“竹”のお話】

沖縄で梅雨入りが発表されてから、日本各地で雨模様となりました。この時期になると、春に旬を迎えていた筍がグングン成長し、立派な竹になります。

(筍に関するお話はこちら!→https://kampo.saishunkan.co.jp/posts/4013875)

今日は竹に関する言葉や、生薬としての使われ方などをご紹介します。

竹は昔から日本人の暮らしに欠かせないものであり、古くは縄文時代から使われていたといわれています。そのため、竹にまつわる日本語も、数多くあります。

「破竹の勢い(はちくのいきおい)」という言葉を、皆様も一度は耳にされたことがあるのではないでしょうか。竹は縦に割ろうとすると一気に割れていくことから転じて、「猛烈な勢いで進んでいくこと」を表します。

「雨後の筍(うごのたけのこ)」も竹の言葉です。雨が降った後に続々と筍が生えてくることから転じて、「物事が次々と起こる様子」を表します。

また、「竹の秋」という言葉があります。実はこの言葉は“春の季語”として使われるのです。4月から6月にかけて筍が成長しますが、このとき竹は養分を筍の成長に使うため、竹全体が黄色く変わります。その様子が竹に秋が訪れたように見えるため、「竹の秋」と表現したのです。素敵な言葉ですね!

そんな竹ですが、実は生薬としても使われているのです。竹筎(ちくじょ)という生薬で、竹稈(ちくかん:節と節の間)の内側の層を使います。体の余分な熱をとり、痰や吐き気を鎮めるといわれているため、のどからくる風邪などに用いられる漢方薬に配合されています。

ほかにも、竹の丈夫さを生かして家屋や入れ物として加工されたり、抗菌作用のある皮はおにぎりの包みに使われたりしていました。竹は昔から私たちの生活に結び付いたものだったのですね。

 

中には、ご近所に竹林がある方もいらっしゃるかもしれません。この時期にしか見られない竹の姿を、ご覧になってはいかがでしょうか。

【再春館製薬所 公式ブログ】おうち漢方

『おうち漢方』は再春館製薬所の公式ブログです。 漢方というと、専門的なこと?難しい?ちょっと私にはわからない? でも、漢方の考え方は、古くから日本の風土や暮らしに密着し、ずっと前からの日本人の知恵、とでも言い換えられるほど、私たちの生活や日常に根付いているのです。だからこそ、私たちは肩ひじ張らず、毎日の生活に役立つ「漢方」の知恵を、わかりやすくお伝えしていきます。