9月23日は「秋分の日」。
「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日として、国民の祝日に定められています。そして、秋分の日を中日(ちゅうにち)とし、前後3日を含めた一週間(今年は20日~26日まで)を「お彼岸(ひがん)」と言います。
「彼岸」という言葉は、仏教で、ご先祖さまのいる世界<極楽(ごくらく)>を「彼岸」、いま私たちが生きているこの世界を「此岸(しがん)」というところに由来しています。
また、「彼岸」は西に位置し、「此岸」は東に位置するとされています。
秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈むので彼岸と此岸がもっとも通じやすい日になると考えられ、この時期に先祖供養をするようになりました。
今回は、この時期よく目にする赤い花、「彼岸花」についてお話しします。
様々な理由から100個くらい別名があり、中には不吉な名前もありますが、その一方で、めでたい前兆と言われている「曼殊沙華(マンジュシャゲ)」という別名を持つことでも有名です。
墓地や畦道でよく見かける彼岸花ですが、実は人為的に植えられたと言われています。
彼岸花の球根には、特に毒性があることで知られています。野生生物に墓地や水田を荒らされないために、この毒性をうまく利用したのです。
また、球根を乾燥したものは生薬の石蒜(せきさん)といい、すりおろして貼って浮腫などに使われたこともあったようです。
最近では毒性成分のひとつ、ガランタミンがアルツハイマー型認知症の薬として開発され、実際に医療の現場で用いられています。
毒性を利用した忌避剤としての役目を果たすべく、その場所にしっかりと根を張り、故人を静かに見守ってくれたり、現代医療にも貢献したりと、大切な存在なのですね。
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