【生薬の不思議な話 クコ編】

今週に入って、全国的に気温がぐっと下がりましたね。

体調を崩されていませんか?

10月23日から11月7日頃までは二十四節季でいう「霜降(そうこう)」です。

霜降とは「露が冷気によって霜となって降り始めるころ」と言う意味で、カエデ等が紅葉し始めるころと言われています。

今日は、そんな秋に赤い果実をつけるクコのお話です。

クコはナス科の小形の落葉低木で、環境に順応しやすく、河原や庭の端、荒れ地などによく群がって生息しています。

夏になると、葉の付け根にナス科の植物らしく、淡紫色のかわいらしい五弁の花を咲かせます。


そして秋になると、赤い楕円形の実を付けます。

この赤い実は、薬膳料理として杏仁豆腐や中国粥の材料としておなじみですね。


クコは、3世紀につくられた中国最古の医学書『神農本草経(しんのうほんそうきょう)』に、「久しく服すれば筋骨を堅くし、身を軽くし、老いず、寒暑に耐える」とあり、有用な薬用植物でした。

生薬名としては実を「枸杞子(くこし)」といい、強壮、新陳代謝増強などの作用があり、一般用漢方製剤294処方のうち、杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)の1処方に配合されています。

また、根皮は「地骨皮(じこっぴ)」といい、血糖降下、降圧、解熱などの作用があり、一般用漢方製剤294処方のうち、滋陰至宝湯(じいんしほうとう)、清心蓮子飲(せいしんれんしいん)の2処方に配合されています。

このように食用としても漢方薬としても、いろいろな所で自然の力を活用していることに気が付きます。

漢方が少しでも身近に感じて頂けたら嬉しいです。

【再春館製薬所 公式ブログ】おうち漢方

『おうち漢方』は再春館製薬所の公式ブログです。 漢方というと、専門的なこと?難しい?ちょっと私にはわからない? でも、漢方の考え方は、古くから日本の風土や暮らしに密着し、ずっと前からの日本人の知恵、とでも言い換えられるほど、私たちの生活や日常に根付いているのです。だからこそ、私たちは肩ひじ張らず、毎日の生活に役立つ「漢方」の知恵を、わかりやすくお伝えしていきます。