4月30日の投稿で便秘のタイプ別養生についてご紹介させていただきました。そのときには、「お腹の痛みを伴う便秘」についてご紹介させていただきました。
(「お腹の痛みを伴う便秘」はこちら→ http://kampo.saishunkan.co.jp/posts/4102182 )
今回は、「お腹の痛みを伴わない便秘」についてご紹介したいと思います。
お腹の痛みを伴わない便秘も3つのタイプに分かれます。
気虚不運(ききょふうん)タイプ
○便がなかなか出てこない、○便の出始めは固く、あとは軟らかい、○ 疲労感や倦怠感がある、○立ちくらみがある
陽虚寒凝(ようきょかんこ)タイプ
○冷え性で寒がり、○元気がないことが多い、○顔が青白いことが多い、○尿の色が薄くて量が多い、○夜間にトイレに行くことが多い
陰血気陰不足(いんけつきいんふそく)タイプ
○便が固く、コロコロしている、○極端にやせている、○くちびるや肌が乾燥しやすい、○顔色が悪くくすんでいる、○排便がしにくい
当てはまるものが多い場合、そのタイプの傾向があります。ぜひ、これからご紹介する養生をご参考ください。
―気虚不運タイプ―
生まれつきの虚弱体質や慢性の疾患、老化などが原因で、「気虚(ききょ:気が不足している状態)」になっていると考えられます。気虚により内臓の動きが鈍って腸の運動も弱くなり、排便に力が入りにくくなる状態です。
・養生
「気」を補う養生を行いましょう。体の養生として、無理しないこと、ゆっくりと静養することなどです。食の養生としては、胃腸の働きを助け、吸収を高めるサトイモやサツマイモ、ヤマイモなどの根菜類をとり入れてみてください。
―陽虚寒凝タイプ―
このタイプの場合、冷え性であることが多いのが特徴です。冷えはさまざまな不調を引き起こします。血の巡りが悪くなり、内臓が活発に働かなくなります。すると、胃腸も不調をきたし、便秘が生じるというわけです。
・養生
体を温める温性の食べ物がいいでしょう。例えば、生姜やにんにく、ネギ、海老などです。またコショウやトウガラシなどのスパイスを用いてもよいかと思います。ただ、刺激も強いのでほどほどに。そこに「気」の巡りを助ける人参や先ほどの胃腸を助ける根菜類を合わせるとより効果的です。
―陰血気陰不足タイプ―
この場合、疲労や栄養不足、睡眠不足などで生じる「血虚(けっきょ:血の不足)」か病気や過労、ストレスなどによって生じる「気虚(ききょ:気の不足)」が考えられます。
・養生
血の不足の場合、「脾(ひ)」の働きを高めることが効果的です。ソラマメやタコ、ハチミツなどがあります。
気の不足の場合は「腎(じん)」の働きを高めることがいいとされていますので、アサリやイカ、ニラなどがおすすめです。
いずれにしても「五臓(ごぞう)」の働きを正常にすることや高めてあげることが大事です。
例えば、ブロッコリーは「利五臓(りごぞう)」という五臓の機能を調節して回復する性質がありますし、卵にも「安五臓(あんごぞう)」という五臓を補い、その機能を高める性質があります。
便秘の状態が続くと、肌荒れや肩こりなど様々な要因につながります。肥満の原因になることもあります。長年の便秘は簡単に改善されるものではないですが、少しずつでも毎日の生活で養生をとり入れ、腸内環境を整えていきましょう。
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